こころの病気とリーリンシグナル伝達系

1.研究の概要とキーワード

 当研究室では、リーリン欠損マウス・リーラーやSRKラット、さらにリーリンの下流で機能するDab1欠損マウス・ヨタリの神経回路網の研究をしています。これらの変異動物では、ニューロンの移動障害のために大脳や小脳をはじめとして脳の広い領域に構築異常があります。最近、リーリンが統合失調症やアルツハイマー病と関連している可能性が明らかになってきました。  


2.他の研究との相違点・新規な点

 リーリンは発生過程におけるニューロンの細胞移動を制御する分子として発見されましたが、成体でもその強い発現が持続することより、細胞移動の調節とは別の機能を持つことが以前より推測されていました。最近、統合失調症の前頭葉におけるリーリンの発現が半減していることが報告されました。またリーラーマウスのヘテロ動物では、不安が亢進していることが明らかになりました。またリーリンはアルツハイマー型痴呆とも関連しているようです。私たちのラボでは、このような精神疾患の根底にある神経ネットワークの異常を求めて、リーリンシグナル伝達系の研究をしています。
 

3.内容 

 リーリンは分泌性の巨大なタンパクで、大脳皮質や海馬ではカハール・レチウス細胞が分泌します。リーリンの受容体は、アポリポプロテインE受容体であると考えられています。
リーリンは受容体を介してDab1タンパクのリン酸化を誘導して、ニューロンの位置決めを行っています。また成体では、抑制性ニューロンがリーリンを発現します。


4.研究の適用分野

 分野:製薬企業 情報工学
 統合失調症やアルツハイマー型痴呆の発症メカニズムを明らかにし、これらの疾患の治療薬開発に貢献します。またリーリン欠損動物の神経ネットワークは、脳型コンピューターの開発や知的ロボットの開発にも良いモデルを提供します。  

研究者  寺島 俊雄
神戸大学医学・脳科学
神戸大学連携創造本部より

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