形態形成と疾患を制御するシグナル伝達機構
1.研究の概要とキーワード
生物の形態形成を制御する細胞内シグナル伝達機構と、その異常によって引き起こされるがん等のシグナル伝達病の分子機構の解明を目指して研究を行っています。特に、動物の形態形成に必須な役割を果たしているWntファミリー増殖因子とその受容体として機能するRor2受容体型チロシンキナーゼに焦点を当てて分子・細胞・個体レベルでの解析を行っています。
2.他の研究との相違点・新規な点
私たちはマウス受容体型チロシンキナーゼRor1およびRor2を同定し、発現解析や遺伝子欠損マウスの作成と解析を行うことにより、それらの発生過程における重要な機能を明らかとしてきました。また、Ror2がWnt5aの受容体として機能することを見出し、その詳細なシグナル伝達機構を解析中です。Ror2とWnt5aは形態形成に重要なだけでなく、その異常ががん等の疾患の原因にもなりうることから、本研究によって得られた知見は疾患の診断や治療方法の開発に応用します。
3.内容

Ror2を介するシグナル伝達機構を明らかにするため、Ror2と相互作用する細胞外および細胞内因子の同定やWnt5aシグナル伝達経路におけるRor2の機能解析を生化学、分子生物学、細胞生物学、発生工学の手法を用いて進めています。また、Ror2によって制御を受ける細胞骨格の再構築機構を解析するとともに、DNAチップを用いた網羅的解析によりRor2によって発現調節を受ける遺伝子群の同定を行っています。これらの研究によりRor2を介するシグナル伝達ネットワークによる生命機能の制御機構を明らかにしていきます。
4.研究の適用分野
Wnt5a・Ror2に始まるシグナル伝達ネットワークは個体発生だけでなくがん化やがん細胞の浸潤・転移、幹細胞の自己複製など様々な生命機能に関わっています。また、Ror2遺伝子の異常によるヒト疾患(劣性遺伝性Robinow症候群、B型短趾症)が報告されています。したがって、私たちは生物の形態形成機構の理解だけでなく、得られた知見をもとにこれら疾患の診断および治療方法の開発、そして再生医療への応用を目指します。
例)遺伝性骨軟骨疾患の診断、がんの悪性度の判定とがんの浸潤・転移の制御および再生医療への応用
研究者 西田 満・野町 昭・依田成玄・南 康博
神戸大学医学・ゲノム科学
神戸大学連携創造本部より
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- at 2006年12月27日